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政策・見解

2018(H30)年度決算に対する討論

2018年度(H30)年度の決算に対し、長沢区議が党区議団を代表して、以下の討論をおこないました。

 

 ただいま上程されました、認定第1号、平成30年度中野区一般会計歳入歳出決算の認定については賛成、認定第3号、平成30年度中野区国民健康保険事業特別会計歳入歳出決算及び認定第5号、平成30年度中野区介護保険特別会計歳入歳出決算については反対の討論を日本共産党議員団の立場から行います。

 

 初めに、一般会計の決算についてです。

 

 1点目に、子ども施策、子育て支援についての拡充が見られたことは評価できます。生活保護基準の見直しによる就学援助経費への影響を回避する経過措置がとられ、その就学援助費については、入学準備金の前倒し支給の実施に加えて、入学準備金の増額は、要保護世帯だけでなく準要保護世帯も増額としました。今後も要保護世帯への増額改善が図られた際には、準要保護世帯に対しても同様の措置を講ずるとしたことは重要です。また、5、6年生の社会科見学等のバス代補助が実施となり、小学校全ての学年でバス代補助の復活となりました。これらの事業が貧困と格差の広がりが深刻化するもとで実施されたことは評価に値します。

 

 平成30年度も保育園の待機児童解消が大きな課題でした。平成28、29年度は、予算を計上しながら整備が思うように進まず、待機児童の解消にはほど遠い状況にありました。決算年度においては、これまでの就学奨励金と宿舎借り上げ支援事業補助に加え、保育士確保経費補助も実施され、10カ所の認可保育園の整備により630名の定員拡大につながったことは多とします。しかし、依然として待機児童の解消に至っていないことから見れば、引き続きの認可保育園の整備と保育士等確保などの事業の継続が必要です。

 

 なお、この年度は7カ所で認可外の区立保育室の開設が行われました。ただし、整備場所が区内北部の地域に偏り、公園を全面的ないしは一画を占有し、その上、近隣住民の了解もなく整備を進めたことで、住民の批判は免れず、本来ニーズの高い乳児の入所が定員数を欠ける事態となったことについては指摘をしておきます。

 

 また、学童クラブの待機児童についても解消が急がれます。詰め込みにならぬよう、クラブ児童の遊びと成長、発達を保障した取り組みの強化が必要です。

 

 区民との対話の機会であるタウンミーティングなどは、今後も精力的に実施すべきだと考えます。同時に、これからの中野区が子育て先進区にふさわしく、子どもと子育て世代の期待に応えるべく、施策・事業の充実に尽力するよう求めるものです。

 

 2点目に、区政運営及び区民要求に対して、区民の声を聞き、生かしていこうとする姿勢が見られたことです。

 

 平成30年度は、平和の森公園の再整備計画に基づいた予算計上及び執行がなされましたが、区長と語る会の実施など、幅広く区民・利用者の意見を聴取する中で、区長より再整備計画の一部見直しが提案された年度でもありました。哲学堂公園の再生整備計画については、区民からの強い見直しの声を受けとめ、実施設計が行われていたさなかであっても中止をしました。その際、国の政策誘導もあって、観光拠点の位置付けであった再生整備計画を見直し、変更したことは重要でした。これらは、区民の願いに目を向けた取り組みであるかどうかが問われた上で行われたものであったと捉えています。

 

 また、中野駅新北口駅前エリア整備にかかわって、1万人規模の大型集客交流施設の是非が区民の間で話題となっていました。見直しを掲げた区長のもとでタウンミーティングが開かれ、既存の区民会議については参加団体をふやし、開催頻度も高めて積極的に議論してきたことは了とします。

 

 同時に懸念されるのは、この中野駅周辺の再開発が大規模プロジェクトであって、税金の使い方はもちろんのこと、区民財産をどのように扱うかという自治の観点からも重要であると認識をしています。住民が地権者であり、組合施行での市街地再開発を検討している中野四丁目西地区エリアを含め、公金支出の多寡だけでなく、民間企業であるディベロッパー、ゼネコン等が利益を生み出すためだけに区が汗を流すようなことだけは絶対に避けなければなりません。そのことは重々指摘をしておきます。

 

 方針・計画の見直しは、他のところでも図られています。一例ではありますが、グローバル都市戦略の策定に基づいて、平成30年度はグローバルビジネス拠点整備に合わせてグローバル都市戦略の推進をうたっていました。しかし、既に取りやめることが公言されています。この年度、民泊についてはインバウンド効果を期待し、事業者向けセミナーを実施しましたが、今後は住環境をいかに守りつつ民泊を行うかという方向が示されています。

 

 今回の決算審査に当たっては、職員体制のあり方についても焦点となりました。これまでの行き過ぎた職員削減、その帰結として職員2,000人体制のゆがみは早急に改善が図られなければなりません。あわせて、職員のボトムアップを保障する意味でも働きやすい職場づくりが欠かせません。メンタル疾患など新たな病気休職となった職員がふえた年度でもありました。職場環境の改善とともに、組織体制の検証及び職員へのきめ細かな対応を求めます。

 

 次に、国民健康保険事業特別会計についてです。

 

 平成30年度から広域化が始まり、それに伴う激変緩和措置として、中野区は都が示した6年間よりも長い9年間としました。他区の大半が6年間の激変緩和措置をとるもとで区民への影響を抑えたいとした措置であり、その点は理解できます。しかしながら、被保険者である区民とっては、これまで15年間も値上げが続けられた上に、今後も緩やかではあっても保険料の値上げにつながらざるを得なくなってしまっています。中野区が区民の命と健康を守り、暮らしを支える立場から抜本的な見直しを国と都に要望することを強く求めておきます。

 

 次に、介護保険特別会計についてです。

 

 平成30年度は、第7期中野区介護保険事業計画の初年度でした。第7期の事業計画期間中の介護保険料所得段階を15段階から17段階として応能負担に近づけたことは評価できます。しかし、保険料基準額は7期連続して値上げです。この年度の予算審査の際にも指摘しましたが、第5期、第6期の計画を見ても、介護給付費準備基金から取り崩した年度はなく、積み立てるばかりとなっています。平成30年度の予算では、介護給付費準備基金から1億3,093万円余を取り崩す予定でしたが、準備基金繰入金はなく、一方、予算上は科目存置として1,000円としていた準備基金には、1億772万円を積み立てる結果となりました。高齢者人口がふえ続け、利用者全ての介護給付量を推しはかるのは確かに困難さを伴います。しかし、見込み違いとして値上げし続ける保険料がこのままでよいわけありません。次期の改定に向けては、この第7期に限らず、数年分の介護保険の実態を分析して精度を上げ、基準となる保険料を引き下げる努力を求めます。

 

 以上で、認定第1号、平成30年度中野区一般会計歳入歳出決算の認定に賛成、認定第3号、平成30年度中野区国民健康保険事業特別会計歳入歳出決算及び認定第5号、平成30年度中野区介護保険特別会計歳入歳出決算に反対の討論とします。