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本会議質問全文

 おはようございます。昨日、本会議での一般質問に立ちました。傍聴いただいた皆さん、また、傍聴は行けないけれどと応援のメッセージをいただたい皆さん、ありがとうございました。日々の生活相談やお寄せいただく声、また、区民アンケートでの実態に基づいて質問をおこないました。限られた持ち時間で、リアルにどう実態を届けるか、また、どういう角度で区の認識を問い、どう質していくのか、毎回、最後まで頭を悩ませます。反省も失敗も繰り返しながらですが、いま、届けたい声を全力でおこないました。答弁については、前進面とともに、さらなる追及、質していかなければいけない課題も沢山あると感じています。今後、あらためてご報告させていただきます。

以下、質問全文です。引き続き、議会内外で力をあわせていきます。

 

本会議一般質問

2020/11/27

浦野さとみ

 

2020年第4回定例会において、日本共産党議員団の立場で一般質問をおこないます。質問は通告通りで、その他はありません。

 

はじめに、1、コロナ禍で区民のくらし・営業を守ることについて伺います。(7問)

 今月初め、コロナの影響で仕事を失った方が見込みも含めて全国で7万人を超えたと報道されました。これはハローワークなどを通じての調査のため、実際に仕事を失った方はさらに多いとみられています。日本共産党区議団がおこなっている区民・事業者アンケートは、昨日現在、4400人を超える方から回答をお寄せいただいていますが、この1年でくらし向きが悪くなった方は全体の約半分にも及んでいます。昨年秋の消費税10%増税の影響に加え、コロナ禍で深刻な実態がより一層、浮き彫りになっています。すでに、「自助」「共助」ではどうにもならない、皆さんが本当に踏ん張って生活・生業をされています。

 

 また、自殺に追い込まれた方の増加も深刻です。先月10月には全国で2158人、昨年の同じ時期と比べ40%増、特に女性が大幅に増加しています。20代・40代の女性は昨年の同じ時期の2倍以上にもなっています。これは、本人や周囲の問題ではなく、「公助」の弱さの反映であり、まさに政治の責任です。いまこそ「公助」の役割を発揮すべきです。PCR検査体制等の拡充については、昨日、来住区議から提案をさせていただきましたので、ここでは、検査体制以外の問題で伺います。

 

〇国の持続化給付金や家賃支援給付金、東京都の協力金など、現時点で使える支援策はすべて活用した方も「すでにそのお金は使い果たし、更なる支援策がなければ商売を継続できない」との声も少なくありません。区内でも老舗のバーをはじめ、少なくない店舗が閉店に追い込まれました。また、都の協力金は対象外で売上自体は減少しているものの持続化給付金や家賃支援給付金の対象にはならない事業主の方も多くいます。区は、こうした区内事業者の現状をどのように把握されているか伺います。

 

〇中野区の今年度第7次補正予算でプレミアム付商品券が予算化されたことは評価します。その効果を見極めながら、今後、更なる区としての支援策を検討すべきです。また、東京都や国に対しても、第2弾の持続化給付金や家賃支援給付金などの支援策を求めるべきです。見解を伺います。

 

〇個人の方への家賃支援としての住居確保給付金は最長で9カ月のため、4月に支給開始となった方は年内には支給打ち切りとなります。現在、この住居確保給付金を頼りにしている方が今後、仕事に就くことが難しい場合には、住まいを失うことになってしまいます。こうした最悪の事態を避けることがどうしても必要です。国に対し、住居確保給付金の期間延長を求めるべきです。答弁を求めます。

 

〇国民健康保険料の減免制度についても伺います。この制度は、他の支援制度に比べても、さらに知られていないのが実態であり、第3回定例会において羽鳥区議が区としても積極的な制度周知をするよう求めたところです。国保料の通知とともに減免制度をお知らせした自治体や、電話での問い合わせがあった方全員に申請書を送付した自治体では、制度利用者が増えています。先に紹介したアンケートで「国保減免制度については知らない。対象となるのであれば申請したい」との回答があった方に制度の説明に伺ったところ、対象となることがわかり、その場で申請書を一緒に記入し、後日、無事に保険料が減額となりました。区は、国民健康保険料の減免制度について、きちんと周知すべきです。具体的対応策について、答弁を求めます。

 

〇他の支援制度の周知についても伺います。中野区では、 「区民のみなさんへ」「事業者のみなさんへ」と題した支援制度一覧を適宜更新し、ホームページ上での情報発信とあわて、15の区民活動センターなどの区有施設や民間のスーパーにも協力いただきながら紙ベースでも周知しています。スーパーに置かせていただいたものについては受け取っていく方がとても多いと伺っており、様々、工夫をされていると思います。しかし、それでも複雑な制度も多く、「自分がどの制度に該当するのか」「申請方法がわからない」などの相談は、とても多く寄せられます。年内いっぱいもしくは年明け早々に申請期限が迫る制度もあります。あらためて、様々な媒体を活用し支援制度の周知を図るべきです。見解を伺います。

 

〇新型コロナウイルスの影響は新たな問題を生むと同時に、すでに存在していた格差や社会システムの脆弱さもあらわしています。その1つに女性への暴力の問題があります。東京都内の配偶者暴力相談支援センターに寄せられた相談件数(東京都および17区の合計)は、今年3月~5月の合計で6125件であり、昨年の同月期(5480件)から645件増加しました。国のDV相談プラスをはじめ、民間シェルター、警察などへの相談をあわせれば、相当な件数になることが推測されます。中野区では、中野区女性相談(婦人相談)がその対応窓口となっていますが、今年3月以降の相談の件数と傾向について、また、それを踏まえた区の対応について伺います。

 

〇相談があった方のおひとりは、男性パートナーと子どもと3人で住んでいますが「パートナーから日常的な暴力がエスカレートしたため別居をしたい。しかし、コロナの影響で仕事がなくなったので収入が途絶え、転居費用もない状況」とのことでした。

パートナーが在宅勤務になったため常に監視をされているような状況で、電話での相談は困難とのことで、FBのメッセンジャーを通じて相談が寄せられました。これまでに経験したことのないコロナ禍のもと、相談体制の整備、相談先の周知が急務となっています。区としても、当事者がより相談しやすくするためのHPの充実とともに、それ以外の媒体でも相談先の周知に一層、力をいれるべきと考えます。見解を伺い、この項の質問を終わります。

 

 

次に、2、旧中野刑務所正門について伺います。(3問)

 所管委員会に「旧中野刑務所正門の取扱い方針(案)」が報告されました。区は、正門の保存及び公開と平和の森小学校における良好な教育環境の確保との両立を図る観点で、正門は曳家により西側へ移築した上で、保存と公開をおこなっていくという考えを示しました。旧中野刑務所は大正4年に建てられ、日本の建築史上、大変に高い価値を持つ建物です。区内平和史跡の一つでもあり、なかの平和マップや教育委員会発行の「中野を語る建物たち」等にも掲載され、レンガ造建築として最も成熟した遺構との評も寄せられています。これまで会派として、旧中野刑務所正門の保存と、様々な専門家や区民の声を聞きながら門を活かした平和の森小学校新校舎建築をと提案してきました。門を保存した上で広く公開し、門の歴史や価値が十二分に活かされる保存活用計画になることを強く要望します。その上で、以下、3点伺います。

 

〇旧中野刑務所正門は、歴史的・文化的・教育的など、多角的な価値を有しています。文化財保護審議会答申でも触れられていますが、あらためて、区が認識しているこの門の価値について伺います。

 

〇また、今後、その歴史や価値が活かされる保存活用計画にしていくべきです。地域特性を活かし、区として、どのように保存活用をすすめていくのか、現時点での考えについて伺います。同時に、その際に専門家や地域住民などの参加もきちんと保障していくべきと考えます。あわせて答弁を求めます。

 

〇最後に、中野区としての文化財指定について伺います。用地取得が年度内に予定されていますが、区としての文化財指定をどのように考えているか、時期についてはどう検討されているのか、あわせて伺い、この項の質問を終わります。

 

 

次に、3、生活保護行政について(9問)

(1)高齢者居宅介護支援事業について伺います。

政府は2019年末、「生活保護におけるケースワーク業務の外部委託化」方針を閣議決定し、今年度中に必要な措置を講じ、法改正に要する業務についても外部委託を可能とする方向で検討しています。令和3年度中に結論を得るという、外部委託に対し積極的な方針を示しています。

 

中野区では、2010(H22)年度から生活保護利用の65才以上の方を対象に、「高齢者居宅介護支援事業」の名でケースワークの一部外部委託を開始しました。当時、23区では初めての委託事業で、事業開始の経過と必要性については次のように説明をしていました。「生活保護受給者が増加する中、ケースワーカーの支援業務が精神疾患を持つ方や若者の支援に追われ、安定した高齢者世帯への支援がやむを得ず後回しになる実態がある。そのため、高齢者世帯の生活状況・健康状態の把握、年金の調査などの業務を検討した結果、相談や見守り、提出資料作成の補助業務などは民間の事業者による実施が可能である判断をし、業務を委託して支援充実やサービスの適正化を図ることとした。(中略)この事業を始めることで、高齢者以外の受給者の生活状況把握や自立援助などのケースワーク業務に力を入れることができるようになると考えている」というものでした。

 

〇そこで伺います。この事業について、現在も区としては同じ目的で事業を継続していますか。答弁を求めます。

 

 この事業は、「中野区高齢者居宅介護支援事業実施要項」に基づきおこなわれており、対象者は生活保護利用者で65才以上の方のうち、中野区福祉事務所長が本事業を実施する必要があると認める者とされています。2010年の開始当初は約3200万円の委託費で600世帯を対象とし、翌年度には委託費を5600万円、対象世帯も1200世帯といずれも倍増させました。さらに、委託開始3年目(2012年度)には、委託費6100万円・1350世帯とさらに増やし、2014年度以降は7400万円を超える委託費で、1650世帯の高齢者を本委託事業の対象にしています。

 

〇生活保護を利用している65才以上の高齢者のうち、おおよそ何%の方が本委託事業の対象となってきたか、事業開始年度と2019年度について、それぞれの割合について伺います。

 

今年度は、14名の高齢者ケースワーク専門員(以下、専門員)が、1650世帯の方に年2回の訪問をおこなっています。専門員の構成について、委託仕様書ではア~ウの3つの区分が示されています。【ア.介護支援専門員】【イ.介護福祉士、社会福祉士、社会福祉主事任用資格のいずれかの資格があり社会福祉法に規定される社会福祉事業で実務経験のある者】【ウ.その他、区が適当と認めたもの】となっています。【ウ.区が適当と認めたもの】では特に資格の有無は問うていません。今年度、14名の専門員の資格所有の内訳は、どうなっているか。社会福祉士は4名のみ、専門資格がない方は5名となっています。

 

先月、本事業の対象となっていた70代男性のAさんについて、相談が寄せられました。Aさんは長い路上生活から中野区内の支援団体のサポートに繋がり、現在はアパートにて1人で生活をされています。Aさんは倹約家で、月々の保護費から少しずつ貯金をしていました。そのAさんに対し専門員は、今年7月に支給されたアパートの更新料について、「Aさんはお金があるようだから更新費用は返還してください」と述べたそうです。その後、専門員の名前でAさん宅に約10万円の更新料を返還するための納付書が送られてきたため、Aさんは相当追いつめられてしまいました。Aさん宅を定期的に訪問している医療関係者が疑問に思い、今回の問題が発覚しました。早速、調べたところ、本来は返還する必要のないものということが判明しました。Aさんの異変にサポートの方が気づくことがなければ、Aさんは毎月の保護費から生活を切り詰め、心身ともに追い込まれながら、約10万円を返還することになっていたと思います。また、同じ専門員はAさんに対し、「そんなにお金があるのだったら、特別定額給付金も要らないのでは?」とも言い、Aさんは自分が給付金を受け取ってよいのか、悩んでしまったと言います。

 

〇これは絶対にあってはならないことです。生活保護法第56条では、「被保護者は正当な理由がなければ既に決定された保護を不利益に変更されることがない」と定めています。私はこの問題が判明した際、もしかするとこれは氷山の一角に過ぎないのではないか、これまで11年間、約16000世帯の方が本委託事業の対象になってきましたが、他にも同じような方がいた(いる)のではないかとさえ感じています。今回、なぜ、このようなことが起きたのか、また、生活保護法第56条と照らしどうなのか、委託している区の責任の3点について、あわせて答弁を求めます。

 

また、生活保護法第19条4項では、「保護の実施機関」が「保護の決定及び実施に関する事務の全部または一部をその管理の属する行政庁に限り、委任することができる」と規定されています。そのため、委託仕様書でも、「保護費の返還・徴収に係る事務」は「区が実施する業務」とされており、委託の範囲からは外されています。公務員の生活保護ケースワーカーにある権限や決定権は、当然ながら、この委託事業の専門員にはありません。

〇しかし、Aさんへの返還決定通知書や納付書、送付された封筒には専門員の名前が書かれており「保護費の返還・徴収」の決定と、実際に返還を求める事務、つまり「保護の決定及び実施」そのものを委託先の専門員が直接行っている点において、生活保護法第19条4項の根幹に違反しているのではないでしょうか。また、委託仕様書の委託内容の範囲からも明らかに逸脱していると考えます。ケースワーカーと専門員の名前を併記することが通例となっているのか。あわせて伺います。

 

現行生活保護法の立法担当者(当時の厚生省保護課長)であった小山進次郎氏は、第19条4項の趣旨について、「福祉事務所において行われるところの本法関係の現業業務(つまりケースワーク業務)と保護の決定、実施の権限との行使とを有機的に一致することをもって本法の実施、運営の効率的能率化を期し、その円滑、適正を計るということ」と説明しています(「改訂増補生活保護法の解釋と運用」300頁)。つまり、適正に保護を実施しようと思えば、ケースワーク業務と保護の決定・実施業務を一体的に福祉事務所が担う必要があり、ケースワーク業務だけを切り分けて外部委託することは法の趣旨に反します。

 

〇また、社会福祉主事の現業員以外にケースワーク業務をおこなわせている点では社会福祉法第15条および19条にも違反しているのではないでしょうか。伺います。

 

また、これらの業務について福祉事務所の職員から委託先の専門員に直接の指示があり事務を行っていた場合は「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準(昭和61年労働省告示第37号)の違反、すなわち「偽装請負」と認定される可能性が高くなります。

 

委託仕様書の委託内容(1)の②には、「生活保護受給者の求めに応じ、相談・助言を行う事務(生活保護法第27条の2に係る事務)」が含まれています。通常のケースワークは殆どが、この第27条2に位置付けられ、利用者のニーズを把握し、必要に応じて生活保護の給付をおこなうためのヒアリングや助言・調査になります。また、相談や助言で終わるわけではなく、例えば、利用者さんから体調が悪いとの訴えを把握した上で医師の診察を受ける必要性があれば、それを助言し医療券を発行し医療扶助を提供することになります。このように、27条の2に基づく支援は、具体的な給付決定、つまり、行政処分を常に意識しなければならないため、実際に必要な決定をする可能性を常に秘めています。委託仕様書では、「保護の決定を伴うものを除いた事実確認等の業務」と記されていますが、例えば、「収入申告書や賃貸契約書など保護の決定に必要な書類の徴取」という項目が委託内容に含まれており、これは実際に保護決定に必要な調査事務となります。

 

 

〇そのため、こうした調査は決定権を有する委託元(中野区福祉事務所長)と常に連携し、指示を得ながらでなければ業務を進めることはできず、この点でも偽装請負の疑いが非常に濃厚となります。見解を伺います。

 

区は、本事業を開始する際、事業者選定にあたっては、「行政機関等から受託して生活保護受給者や生活困窮者の相談支援業務をすでにおこなった実績ある事業者から選定」すると説明していました。あらためて調べたところ、導入年度のみ指名競争入札でしたが、2年目から4年目までは業者指名の随意契約、5年目からは5年間のプロポーザル契約となりましたが、「NPO新宿ホームレス支援機構」という同じ事業者が11年間、本事業を受託し続けています。

 

〇この事業者は、今年5月、国のホームレス支援事業を巡り不正が発覚した案件を主導していた疑いがある事業者です。当NPO理事長は、「NPOの資金繰りが厳しく、不正で受け取った分のお金を事務所家賃や職員給与にあてていた」と東京新聞の取材に答えています。区は、今回の案件を把握されていましたか。伺います。

 

さらに、「NPO新宿ホームレス支援機構」の事業報告書を調べてみました。H29年度、中野区からの委託契約額は1年間で7425万円ですが、同支援機構の事業報告書では、本事業の経常費用合計は約2841万となっています。差額の約4583万円は経常増減額として記載されています。経常費用はすべてが人件費関係ですが、単純に、この費用を専門員14名で割り返すと、1人の専門員あたり1年間で賞与も含め約200万円、1カ月約16万9千円となります。事業報告書では福利厚生も含んでの額となっており、専門員自身の処遇はまさにワーキングプアです。さらに、驚いたことに、同年度、同支援機構が中野区の所管課に提出した参考見積書では、人件費と明らかにわかる部分は6250万円となっており、事業報告書の約2841万と大きな乖離があります。事業報告書記載の金額が事実とすれば、本事業の受託が事業者にとって儲けの事業となっていることも明らかです。

 

〇この実態について区の認識を伺うとともに、まずは事業者に説明を求め、区としても調査をおこなうべきです。答弁を求めます。

 

区はこうした経過も踏まえ、委託事業者、委託事業自身についても見直すべきです。生活保護におけるケースワーク業務の外部委託化は、生活保護法の基本原理である国の責任に反し、必然的に偽装請負と官製ワーキングプアを生み出すことに繋がります。ケースワーク業務の外部委託がもたらす先を、今回のAさんのケースが如実に示しています。福祉事務所の実施責任の空洞化、生活保護利用者の権利侵害、また、貧困ビジネスそのものではないでしょうか。これは、まさに生活保護行政の構造的な問題です。

現在、中野区では地区担当ケースワーカー1人あたり平均で155名の利用者を担当しており、負担は相当なものになっています。国からの監査でも、実施体制の整備について指摘されています。外部委託によっても、人員不足は解消されていないのが現状です。非常に残念なことに、中野区は悪い自治体事例として何度も紹介されています。そもそも、ケースワークというのは高い専門性が求められます。また、相談者に寄り添い、粘り強い働きかけや信頼関係を構築することは欠かせません。

 

〇ケースワーカーの業務過多と専門性欠如という問題への対応は、生活保護問題対策全国会議でも指摘されているように、外部委託や非正規化の推進でなく、正規公務員ケースワーカーの増員と専門職採用などによる専門性の確保、調査事務や徴収事務等の簡素化や効率的な生活保護システムによる負担軽減によっておこなわれるべきです。見解を伺います。

 

冒頭に述べた、政府がすすめるようとしている「生活保護におけるケースワーク業務の外部委託化」方針は撤回すべきであり、中野区の現在の状況についても総括・見直しを求め、次の質問に移ります。

 

 

次に、4、医療的ケア児(者)の支援拡充について伺います。(6問)

 現在、中野区は医療的ケア児(者)への支援として、障害児通所支援、居宅型訪問保育や区立保育園での保育、 重症心身障害児(者)等在宅レスパイト事業などを実施しています。区立保育園における保育は、今年度、沼袋保育園・白鷺保育園で受け入れを開始し、来年度4月からは本町保育園を加えた計3カ所で1名ずつの受け入れ予定となっています。また、在宅レスパイト事業については、2017年7月から医療的ケア児も対象となり、今年9月末現在、30名が登録し、19名が利用しています。今回、中野区が独自の対応として、重症心身障害児(者)等在宅レスパイト事業の利用上限時間を120時間に拡充したことは高く評価致します。しかし、医療的ケア児(者)の方々の実態と照らせば、決して、これで十分とは言えません。

 

現在、素案が示された「中野区障害者計画・第6期障害福祉計画・第2期障害児福祉計画」において、「医療的ケアが必要な方への支援拡充の必要性」について明記されていますが個々の状況は様々です。個別性の高い状況だからこそ、支援の選択肢を増やし拡充していくことが急務となっています。

 

〇現在、区は区内の医療的ケア児(者)の人数は把握されていますが、個々の状況はどのように把握をしているのか。また、継続した実態把握とともに個々のニーズ把握も欠かせないと考えます。見解を伺います。

 

〇その上で素案にも示された、「医療的ケアが必要な方への支援拡充の必要性」を、どう具体化していくのかが重要と考えます。同計画は来年3月に策定予定ですが、今後、区としての具体的な支援拡充についての考え方を伺います。

 

現在、重症心身障害児(者)の判定基準の1つに、一般的に「大島分類」が使われています。「大島分類」は座位がとれる・立てる等の身体をコントロールする力と知的能力(IQ)がどの程度あるかという2つの軸によって構成され、1~4に該当する場合に重症心身障害児と判定されます。しかし、この大島分類は約50年前(1971年)につくられたもので医療的ケア児は考慮されていません。例えば、経管栄養のチューブをしていても、知的な遅れがなく自分で歩くことができる医療的ケア児はこの分類では重症心身障害児には判定されません。そのため、いわゆる動ける医療的ケア児は制度の狭間に置かれてしまい利用できるサービスが非常に限られてしまいます。

 

〇現在、区では重症心身障害児(者)の判定は、何を基準としているのか伺います。

 

〇厚生労働省の「障害児通所給付費に係る通所給付決定事務等について」の通知では、通所給付決定の際の注釈として、「年齢や疾患などの状態により知的障害及び肢体不自由の程度判定が難しいこともあるが、医師や児童相談所等と連携し、大島分類を参考にしつつ、個々に判断する必要がある」と明記されています。この注釈については、どのように考慮されているか伺います。

 

私がご相談をいただいたBさんのお子さんは現在、5才で人工呼吸器と酸素を使用し、1時間に3~6回の痰の吸引や気管切開部の管理が欠かせません。身体障害者手帳は心臓機能障害で1級・身体機能障害で3級(上肢機能障害6級・体幹機能障害3級)、愛の手帳で3度です。座位が保て、手を繋ぐと歩くことも可能ですが、自分の手で酸素チューブや気管切開部に触ってしまうので目が離せません。しかし、運動機能やIQからは、重症心身障害児の判定はされません。そのため、中野区内の通所支援は利用することができないため、現在、武蔵野市内の通所支援を車で片道60分かけて週1回利用している状況です。

 

動ける医療的ケア児を在宅でケアする保護者にとっては、高い医療依存度に加えて見守り度も高く、非常に負担が大きいにも関わらず、現在の障害福祉サービスの短期入所や通所支援での受け入れは極めて困難な状況です。中野区や東京都内に限らず、全国的なサービス不足となっています。現在、日本医師会の障害福祉サービス等報酬改定検討チームでの議論で、新年度の報酬改定において、動ける医療的ケア児の通所支援や医療型短期入所の整備促進のために、医療的ケア児(者)の明確な位置付けや報酬の引き上げや各種加算、医療的ケア児判定スコアの見直しについて意見が出されています。

 

〇区として、医療的ケア児の実態・ニーズ把握に基づいて、東京都や国に対しても支援の拡充を求めていくべきです。見解を伺います。

 

〇最後に、重症心身障害児(者)在宅レスパイト事業について伺います。今回、区として独自の拡充に至ったことは、当事者からも歓迎の声が寄せられています。先に触れた計画素案では、当事業においては、「今後はさらに利用者の声を反映した施策展開を図っていくべき」と記しています。今週24日の都議会厚生委員会の質疑で東京都は、「各自治体からの声があれば柔軟に対応していきたい」と答弁しました。やはり、区としての実態を伝えていくことが重要です。来年度以降、利用回数制限の見直しや上限時間の拡充について東京都へも働きかけると同時に、区としても今回の対応のような実態に即した対応・拡充が必要と考えます。見解を伺い、この項の質問を終わります。

 

 

最後に、5、上高田地域のまちづくりについて伺います。(2問)

上高田地域は、中野区内でも住宅密集度が高く、木造住宅も多くある地域です。この地域では、古くからまちづくりや防災について熱心な議論や独自の取り組みが重ねられており、様々な機会を通じて地域住民の方の想いが伝わってきます。西武新宿線地下化や新井薬師前駅周辺のまちづくり、都市計画上の用途や220号線道路の問題などはもちろんのこと、今後、この地域の児童館や図書館はどうなるのか、また、旧上高田小学校(現令和小学校)や上高田5丁目公有地跡地などについても、地域住民の方々の関心は非常に高いものとなっています。「たきび」の歌の発祥地域でもあり、歴史や文化など地域資源や環境をいかに保全するかも、地域の皆さんが大事にされていることの1つです。ここでは、旧上高田小学校跡地と5丁目公有地の活用について伺います。

 

〇今後、区では区有施設整備の考え方が示される予定ですが、区民の、また地域の財産である区有地は地元住民の声をきちんと踏まえた検討をすることが何よりも大切です。特に、学校跡地はこれまで地域の拠点となってきた場所でもあり、安易な売却や地域の声を踏まえない活用はすべきではありません。区の見解を伺います。

 

〇また、5丁目公有地については、上高田宿舎1号棟は解体され更地となっています。「今後の大規模公園整備の基本的な考え方」においてはスポーツ機能としてサッカー場を、また、防災機能として広域避難場所にすることが記されていますが、現時点では今後の活用方針は未定となっています。現時点の区の考え方はどうなっているのか、また、地域での有効活用のため、住民参加での検討をおこなっていくべきです。見解を伺い、私のすべての質問を終わります。