2020年度(R2)年度の予算に対し、いさ区議が党区議団を代表して、以下の討論をおこないました。
上程中の第6号議案【令和2年度中野区一般会計予算】および第8号議案【令和 2年度中野区国民健康保険事業特別会計予算】について、日本共産党議員団の立場 で一括して賛成の討論をいたします。
第6号議案 一般会計予算に賛成する理由として2点述べます。 第一に、広範な区民要求に応える取り組みが示されているという点です。 防災分野では「木造住宅耐震改修助成の実施」は、木造住宅密集地域の多い中野 区での実施が待たれていました。「洪水ハザードマップの充実」や区有施設など一 時避難所への水・食料等の備蓄なども、区民の不安に応える観点から評価いたしま す。 子育ての分野では、「子どもの相談窓口の体制強化」や「木製おもちゃの配置」等 の改善があることを評価します。「認可保育園の新規開設」は、当区においても深刻 な問題である待機児童の解消のために急がねばならない施策です。併せて、保育の 質の向上に取り組むことが求められます。また、「子どもの権利条例の制定検討」を 歓迎します。 障害者支援の分野では、視覚障害者向けに点字版区報の発行が開始されることは 重要です。また、 「道路補修及びバリアフリー改良工事」、「ユニバーサルデザインフ ォントの導入」など、どんな条件にある方でも健常者と同じように不利益なく生き られる施策は、速やかに進めていただくよう要望します 環境分野では、持続可能性がうたわれる時代において、自治体にもその責務が問 われる中、 「蓄電システム導入支援」、 「食品ロス削減の推進」など、環境の課題に具 体的に取り組み施策が前に進むことを評価します。 「公契約条例」や「中野区男女平等基本条例」は、来年度より検討が開始となり ます。実効性のある取り組みとなるよう、議会の立場からも引き続き後押しをいて まいります。
第二に、ますます悪化する経済状況のもと、区民のくらしを守る予算となっている 点です。内閣府が発表した2019年第4四半期のGDP速報値は年率換算で 6.3%減 と大きなマイナス、景気動向指数も1世帯当たりの消費支出も連続マイナスとなっ ており、昨年10月の消費税10%増税が、増税前から落ち込んでいた経済をさら に悪化させたことは、政府の数字からも、区内商店や区民の皆さんからの声からも 明らかです。このような状況で、「子どもの貧困対策の具体化」は、格差貧困の拡大 を止める具体的な施策の足掛かりとして、積極的な施策展開を期待するものです。 債権管理対策の中で、生活再建支援の視点が盛り込まれることも重要です。 「区内事業所継承支援の推進」では、中小企業や小規模事業者の廃業増加への対 応として、区内事業所の状況調査を実施するとしています。中野区の魅力に大きく関わる商店街のにぎわいに関わる施策であることから期待を寄せるものです。事業 者への詳細な聞き取りなど実態調査を行いながら、実情に見合った支援へと対象を 拡大させていくなどの改善も必要であることを併せて指摘しておきます。
一般会計予算全体を通していくつかの指摘と、要望も述べておきます。 歳入で言えば、児童相談所設置関連をふくめ23区の行政需要はいつになく高ま っています。それだけに、都区財政調整交付金の配分割合の変更は重要な課題です。 「都区制度改革実施大綱」の厳正な運用と、基準財政需要額に算定すべき事項を捉 えた配分割合の適正な見直しを区長先頭に求めていくことを強く要望します。また、 消費税増税の影響に加え、今日の新型コロナウイルス感染に係る区民生活、地域経 済等への影響も懸念されます。税・国保・介護の徴収については、区民生活に寄り 添った対応を求めます。 歳出では、政策過程からの区民参加の実施が極めて大切です。また、財政運営に ついては、今後の財政の厳しさに言及されていますが、それだけに区民の暮らし・ 福祉への影響を回避するための適切・柔軟な対応が必要です。基本構想・基本計画 においては区有施設の配置整備計画が予定されています。新年度に計上されている コンサルタント委託により区有施設のマネジメント支援が施されますが、それにと どまらず区有施設が直接、区民の福祉や人権に関わり、地域コミュニティに貢献し ていることを捉え、徹底した区民参加と意志決定プロセスの可視化を前提として計 画を策定していく事が欠かせないことを強調しておきます。
一般会計予算の最後に、自民党公明党から提出され、その後取り下げられた予算 修正案について。提案者からの取り下げの理由は「各分科会での質疑を鑑みて」と いうものでしたが、まさに提案者から示されたように、各分科会の質疑の中で修正 案の根拠が無いことが明らかになった、ということを一言述べておきます。
第8号議案 国保特別会計予算について述べます。来年度、中野区の一人あたり 国民健康保険料は1298円の増加という方針が示されていますが、国保料の基礎分・ 支援分は減額となります。そのため多くの区民にとっては保険料が引き下げられる ことが明らかであるため、本議案に賛成するものです。同時に一人あたり保険料の 引き上げは一般会計からの繰入金の減額によるものです。同じ所得でも社会保険に 比べ重い保険料負担は多くの区民の滞納という形で現れています。国は、保険料減 額のための一般会計からの操入金を敵視して、来年度からは市町村へのペナルティ まで実施しようとしています。国に対してはこうした地方自治を侵害する制度運用 を改めるよう要望すること求めるとともに、区は区民生活を守る立場に立って一般 会計からの操入金の減額を改めるべきであると指摘し、討論と致します。