本会議質問②
3、次に、よりよい子育て・教育環境について伺います。
(1)はじめに、子ども実態調査について伺います。
先進国に比べても、日本の子どもの貧困率が高いことは厚生労働省の調査などからも示されており、また、特にひとり親家庭ではさらに深刻であることなどを提示しながら、区内での子どもたちの状況把握は欠かせず、区としての調査実施をと、かねてから党区議団として、繰り返し求めてきました。また、他の同僚議員からもこの問題提起は重ねて行われてきました。今年度、この実態調査が予算化され、実施に踏み出したことは歓迎するものです。
●今回の実態調査の対象者、および、調査の項目について答弁を求めます。
答弁
→調査対象は0才~8才までの子どもの保護者と、9才(小学4年生)~14才(中学3年生)までの児童・生徒本人とその保護者、合計26250人。調査項目は子どもの生活実態や家庭・保護者の状況など、東京都が平成28年に実施した子ども生活実態調査と同様の項目の他、子育て環境の満足度など、区の子育て環境の実態を把握するための項目を想定している。
同時に、この調査を今後の区の施策に役立てていくためにも、しっかりと現状把握ができるものにし、その上で、対象者に回答していただき、回収率を高めていくことがより重要と考えます。5月末のNHKニュースで、全国で不登校になっている中学生370人余りを対象に、NHKがインターネットを通じてその原因を聞いたところ、5人に1人の割合で「いじめ」や「先生との関係」をあげました。
一方で、文部科学省が学校を通じて行った調査で同じ原因をあげる生徒はわずか数%にとどまり、2つの調査に大きな差があったことが報道されました。
例えば、不登校の要因として、文部科学省が教員らを対象にしたものでは、「教員との関係」が2.2%だったのに対し、NHKの調査での生徒の回答は23%と大きな開きがありました。文部科学省の松木生徒指導室長は「子どもたちが、先生や親などに本当の悩みを打ち明けられない状況があるのではないか。子どものSOSを見逃さないように、スクールカウンセラーの配置やSNSなどお多様な手段で相談体制を充実させていきたい」としています。
●これから区が実施する今回の調査では、保護者だけでなく、小学4年生~中学3年の児童・生徒本人にも回答をしてもらうと伺っています。よりリアルな回答をしてもらうこと、そして、回収率を高めていくことが大切です。そのためにも、子どもたちが安心して回答できるよう、実施方法や回収方法での工夫が必要だと考えますが、見解を伺います。
答弁
→区報での周知とともに、郵送による回答に加え、回答者の利便性を考慮したインターネットによる回答もできるようにするなど、回収率を高めるようにしていく。
●そして、この調査をどう活かしていくかが重要です。調査用紙の配布・回収以外で検討していること、また、当面のスケジュールについてもあわせて伺います。区としてようやく実施に踏み出したこの調査が、実態をリアルに踏まえた上で、よりより子育て・教育環境の施策につながることを切に要望し、この項の質問を終わります。
答弁
→実態調査と並行し、区民・子育て関連団体等からヒアリングをおこない、子育て家庭の生の声を伺っていきたい。実態調査やヒアリングの結果については、子育て先進区に向けた取り組みや施策を検討する際の参考として、年内を目途に取りまとめていく予定。
(2)次に、平和の森学校の新校舎建設について伺います。
平和の森小学校は前期の小・中学校再編計画において、2011年4月に野方小と沼袋小の統廃合によって現在の位置に開校しました。統廃合にあたり、当時の方針も二転三転をしましたが、隣接する法務省の矯正研修所の移転が確実になったことを受け、その跡地に平和の森小学校新校舎を建設することを前提としての統廃合となりました。当初のスケジュールでは、2016年(H28年)4月が新校舎開校予定でしたが、度重なるスケジュールの変更があり、現在に至っています。
児童数が当初の想定を大きく超える中、児童の休み時間の過ごし方に制約が出てしまったり教室数の不足によって毎年なんらかの対応が迫られたり運動会等の行事などでもかなりに窮屈な状況となってしまったりと、統廃合自体に問題があったことは、これまでも繰り返し指摘し、再編計画自体の検証・見直しが必要であることを求めてきたところです。
●今年1月末の子ども文教委員会に報告された資料では、2月に基本構想・基本計画(案)についての区民との意見交換会を経て、3月末に基本構想・基本計画の策定、2019年度から2020年度で基本設計・実施設計、2023年度に新校舎供用開始との予定スケジュールが示されていますが、現時点で基本構想・基本計画の「(案)」はとれていないと伺っています。その理由について、答弁を求めます。
答弁
→現在、平和の森小学校の新校舎建築予定地に現地保存することとしている旧刑務所門については、多角的な調査・検討をおこなっているところである。基本構想・基本計画(案)では、新校舎と旧刑務所門が隣接しており、この調査・検討の結果によっては、基本構想・基本計画(案)にも影響を及ぼす可能性があるものと考えている。そのため、調査・検討結果が出るまでは基本構想・基本計画(案)のままとし、調査・検討の完了後に門の安全性や取扱い等を確認した上で、基本計画を策定したいと考えている。
今月初め、中野たてもの応援団の方々が主催された「子どもたちの身も心ものびのびイキイキする建築と空間」をテーマにした講演会へ参加させていただきました。子どものための建築を数多く手がけてこられた富田玲子さんが講師で、今後の中野区での新校舎建設等で活かせる視点やヒントが沢山ありました。「子どもの五感が刺激され、しなやかな感性が高められて心身が解放されるような環境であること」「ここにしかないという地域のシンボルであるために、地域の特性を十分に反映し地域に連続した場所になっていること」「自然とともに、風・光・緑の心地よさを感じ、虫や鳥と接し、四季の移り変わりや雨や雪の楽しさ美しさを実感できること」が大事であると述べられていました。
もちろん、地域で様々な状況が異なることは大前提ですが、だからこそ、地域や子ども・保護者、学校関係者を含めた議論を繰り返していくこと、設計や建築の専門家との共同でよりよい環境の学校をつくっていくことが必要だと、あらためて実感しました。
平和の森小学校新校舎建設予定敷地内には、旧中野刑務所正門があり、先程、ご紹介させていただいた富田玲子さんがおっしゃる、まさにここにしかない地域の特性を活かせるのではないでしょうか。旧中野刑務所正門は、歴史、文化、教育など多角的な価値があり、区内のみならず都内、全国、国際的にも注目されています。今月23日には、ハーバード大学に在籍し、日本研究の第一人者であるアンドルー・ゴードン教授が中野を訪問し、旧中野刑務所正門を見学されました。
●区では、今年1月に、この正門について「現地での保存」とすることとしたという報告をし、2月に平和の森小学校新校舎整備に関わっての区と区民との意見交換会がおこなわれました。参加者からは、「区だけで決めずに、しっかりと意見を交換できるようにして欲しい」「門を活かした学校建設を」などの声も出されていました。区内の建築専門家の皆さんからは、門を活かした配置案も示されています。こうしたものも参考としながら、地域住民や子ども・保護者、学校関係者や各専門家の意見と知恵を最大限に集めて、設計の作業にあたっていくことが必要ではないでしょうか。見解を伺います。
答弁
→基本構想・基本計画(案)は、多様な学習環境を可能にし、地域活動の拠点となる施設の整備、効率的効果的な施設配置や施設整備、今後の教育環境や社会状況の変化に対応できる学校施設の整備、快適で安全かつ安心な施設環境の確保の4つの基本方針に基づき、学校、保護者並びに地域からも意見を反映しながら作成したものである。今後、多角的な調査・検討の結果によっては、基本構想・基本計画(案)の見直しも想定されることから、そうした際においては再度、学校、保護者並びに地域等からも意見を聴取していきたい。
(3)次に、桃園第二小学校の校舎建て替えについて伺います。
区では、中野区立小中学校施設整備計画に基づき、学校統合を伴わない建築後50年が経過している校舎の建て替えにあたっては、一時的に未使用となる空き校舎を仮校舎として使用し、その期間に現校舎を解体、新築にすることとしています。今後、その対象となるのが本郷小学校と桃園第二小学校ですが、ここでは、桃園第二小学校について伺います。
桃園第二小学校の建て替えにあたっては、仮校舎として上高田小学校を使用することが検討されてきましたが、かなり遠方のために通学距離が長くなること、特に児童への負担も大きく安全対策についてなど保護者や地域住民からは見直しの声があがっていました。2015年第1回定例会予算特別委員会の中で、この問題を指摘し、改善・対応策について要望しました。また、他の議員からも指摘があり、先程、酒井議員からも質問があったところです。
こうした中、今年の第1回定例会の子ども文教委員会で、今年の10月までに校舎建て替え手法の具体的検証を行い、11月頃に校舎建て替えの手法の方針を決定していくとの報告がされました。これは、区としても先に述べたような声も受けて、例えば、校庭に仮校舎を設置の上での現地での建て替えなども含め、校舎建て替えのあり方について検証をしていくということだと認識していますが、今回、あらためてこうした検証をおこなうこととした理由は何か、また、今後の検討を進めるにあたっては、最大限、児童・保護者・学校関係者・地域住民の要望が反映されるようにすべきと考えますが、あわせて見解を伺います。
答弁
→仮校舎として予定されている現上高田小学校への通学における安全対策や児童の負担軽減を図るため、現地での建て替えについても検証・検討することとした。検証結果については、保護者や地域の皆さまからも意見を伺うこととしており、そこでの意見を踏まえ、学校等とも調整をおこないながら建て替えの方針を決定したい。
(4)この項の最後に、子ども食堂への運営助成について伺います。
●東京都の制度を受け、今年度から中野区でも開始されました。当初、10件程度の申請を想定していたとのことですが、5月の〆切で1件のみの応募だったと伺いました。周知などに問題はなかったのか、伺います。
答弁
→現在、区内で子ども食堂を運営している団体は13団体。本年3月には、子ども食堂運営団体の連絡会において、助成制度の内容などについて説明をおこなった。また、区報や区ホームページ等においても周知した。また、6月には再度、連絡会において助成制度の内容について案内をおこなった。
●これまで、社会福祉協議会での助成制度を利用していた皆さんにお話しを伺うと、助成制度の利用は社会福祉協議会か区かいずれかしか利用できないために、あらためて区に申請するよりは、これまでと同じく社会福祉協議会での制度を利用した方が手続きも楽であるとの声が多くありました。ただ、せっかく区として開始した制度なので、必要としている方々が利用しやすくなるように、今後の改善策、手立てについて検討すべきと考えますが、区の見解を伺い、この項の質問を終わります。
答弁
→子ども食堂の運営助成については、東京都の助成制度を活用しているため助成要件の変更は難しいと考えているが、当初の募集期間を延長することを検討するとともに新規に子ども食堂の開設を予定している団体に対して申請手続きの方法等、適切な案内をしていく。