

朝の中野駅北口で、毎週、言葉を交わしていた小学校6年生(当時)のAさんから、先日、メールが届きました。18歳となり選挙権を持ったAさんにとって、初めての選挙が今回の参院選でした。Aさんの想いに、とても、奮い立たされています(Aさんの了解を得て、以下、共有させていただきます)。
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突然のご連絡失礼いたします。○○在住で私立高校に通っております○○と申します。此度の参院選を初めて有権者として迎え、さまざま感じたことがありましたので、どうしてもどなたかにお伝えしたいと思い、浦野区議もお忙しいこととは存じますが、ご連絡させていただきました。以下、取り留めのない文章、ご容赦ください。
なぜ浦野区議に連絡させていただいたかというと、私が小学生の頃、毎朝中野駅を利用していた時期に、挨拶活動中の浦野区議によく声をかけさせていただいていたからです。今思えば制服に着られて議員さんと話をしている子どもというのは珍妙なものだったと思いますが、私の中で今も浦野区議は非常に印象深い政治家になっています。(ほかにも安保法制が一大論点となっていた時期には共産党の方をよくお見かけしましたが)そういった地道に街頭に立たれている方々の姿が原点となって、私は現在共産党を支持しております。
此度の参院選では、(蓋を開けてみれば薄氷の6位当選でしたが)投票時にはさすがに吉良さんは6位以上にはなるだろうと思い、選挙区では護憲派で子育て支援など福祉を力強く訴えていらっしゃった立憲の奥村政佳氏に、そして比例区では共産党の畠山和也氏に投票させていただきました。今回の選挙を通じて、私自身や私の周りの人々のもつ様々な属性が、次々と周辺化されていく過程を目にし、非常に陰鬱とせざるをえませんでした。個人的事情で恐縮ですが、私の在籍する高校は、社会的な知名度が比較的高いところなのですが、1割程度の生徒が中国や朝鮮半島に密接なルーツを持つと言われており、国外からの移住者の受け入れにかかわる文脈で槍玉に挙げられているところをインターネットでしばしば目にします。中には露骨なヘイトスピーチも含まれます。我々はただ同じ空間で生活し、共同作業をしたり摩擦したりしながら、学びを享受しているにすぎないのです。その状況が、恣意的にある生得的属性に基づいて切り取られ、アイコンとして利用され、憎悪を再生産してゆくという構造に憤りを覚えます。
共産党の魅力のひとつは、(党名も然りですが)安易な人気取りに走らず、熟議を通して自らの理論をまっすぐ伝え続けているところであると感じます。SNSのアルゴリズムに屈せずに地道な発信をされている方は今やかなり稀有であると思います。また、野党共闘のために積極的に1人区の候補者を取り下げ、少しでも望ましい選挙結果になるよう寄与されたのも、正しい選択であると考えます。一方で、共産党だからこそ守れるものもあるだろうと思うゆえ、もっと貪欲にその存在を主張していかねば、貫けるものもだんだん貫けなくなってしまうのではないかという危機感を抱いております。その意味で、いかに自公が議席を減らそうと、共産党を中心に芯の通った革新の議席がそれ以上の速度で退潮していく昨今の選挙結果を見ると、私は前向きな気分には全くなることができません。
そうした背景もあり、昨年衆院選後にJCPサポーターにひっそりと登録いたしました。といっても、大学受験を控えていることもあり、恐縮ながら特段活動には参画できておりません。ひとりの若者の肌感覚ではありますが、現状、若者の支持が伸びていない最大要因は、日常の中に共産党という存在が溶け込んでおらず、縁遠く関係を感じがたいものになっているということが挙げられると考えています。もちろん共産党についてある程度の知識を持った上で批判的信条を持っている若者もいますし、政策的な磨きをかけることは不可欠ですが、全体数に対してはごく一部です。昨今伸びている国民民主党や参政党の話題が、選挙のときでなくても、非常にカジュアルに持ち上がることとは対照的です。
ですから、共産党の方にお願いしたいのは、どうか若い世代への支持拡大を見切らないでほしいということです。既存の構造に対する問題意識がもっとも高い傾向にあるので、変革を訴える政党へのある種の素朴な共感があります。それが、国民民主党や参政党に乗るか、共産党に乗るかは、広報しだい、目立ち方しだいであって、意外と紙一重だと感じているのです。少なくとも私に近しい範囲では、政治的関心は非常に高まっているように思います。私が共産党支持者であるということは学校や受験塾の仲間内ではそこそこ知れている事実らしく、時たま共産党について質問を受けることもあります。ありがたいことに多くの人は穏やかに政治の話をすることができますし、脊髄反射的な拒否感を示す人は、数の上ではほとんどいません。
私自身の感触では、日常会話の延長上で、左派色の強いレトリックはあまり多用せずに、認知の分断を埋めることを意識して話しているときに、穏やかに話ができ、かつ理解もしてもらいやすいように感じています。とはいえ、雑談のつもりの私ですらかなり疲れるので、多数かつ多様な人に毎日粘り強く話さねばならない政治家というのは本当に大変なお仕事なのだと敬服いたします。私は当面入党などはせず、緩く共産党を支持し応援したいと考えております。浦野区議のような、気骨と実績があり地元から親しまれる地方議員さんがさまざまな自治体に増え、国政でもV字回復をし、より幅広い地域、階層、世代の人々に共産党の魅力が広まることを陰ながら願っております。折に触れてまた連絡させていただくかもしれません。拙文失礼いたしました。お体どうぞご自愛ください。
※写真は2019年、Aさんと会っていた時期の中野駅北口での朝のご挨拶の様子