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本会議質問と答弁①

 先日の本会議一般質問に対する答弁を3回にわけて共有いたします。1回目は、区長の政治姿勢と所信表明について(くらしを支える施策・介護事業者支援・中野駅新北口駅前エリアの市街地再開発事業・まちなかでのベンチの設置・平和行政・給付型奨学金)です。なお、答弁は生中継時からの文字起こしと書き取りによるものであり、正式な議事録は、1〜2か月後となります。

 2025年第1回定例会・本会議において、日本共産党議員団を代表し一般質問をおこないます。「1、(3)の(ウ)西武新宿線の鉄道上部空間の活用」と「1、(4)次期の基本計画・区有施設整備計画の策定」については、時間の都合上、別の場で取り上げます。その他は通告通りです。

 

1、区長の政治姿勢と所信表明について(13問)

(1)くらしを支える施策について(4問)

 長引く物価高騰の影響が、住民のくらしやご商売に多大な影響を及ぼし続けています。国の施策として、物価高に見合う賃金の引上げ、消費税減税や本気の中小企業支援が求められます。同時に、中野区が自治体として公助の役割を発揮すべきです。

 

 物価高騰対策として、先月の臨時会で議決した補正予算「令和6年度価格高騰支援給付金」では、区独自の取り組みとして支給対象を「令和6年度住民税均等割のみ課税世帯」及び「令和5年中の合計所得金額の合算額が150万円未満」に拡大しました。以前に続く、区独自の対応として評価いたします。同時に、これらの支給対象の合計は約7万8000世帯と区内全世帯の37%です。この割合は前回より多くなっています。区の歳入が好調である理由に、一人あたりの給与所得増や株式譲渡増などが挙げられていますが、住民の中での格差がますます拡大しています。

 

(浦野)区長は所信表明で、「区民生活を守るために必要な対策を講じていく必要がある」と述べています。住民がおかれている現在の状況を格差拡大の観点も踏まえ、どのように認識されているか伺います。

(区長)特別区民税は一人あたりの給与所得の増などにより堅調な伸びを見せていることから、全国的な賃金上昇の影響は区民の収入にも及んでいると考えている。一方で、実質賃金の前年同月比はマイナスの状況が続いており、物価上昇に対して賃金の上昇が十分に追いついていない状況がある。また、食料品などの生活必需品の高騰により生活が困窮している方もいるなど、支援が必要な方が数多くいるものと認識しており、今後も必要な対策を講じていきたいと考えている。

 

(浦野)気候危機の影響で尋常ではない猛暑の中、エアコンすら使用できない方々がいます。命にかかわる問題です。この間、低所得者へのエアコン購入費助成の必要性を繰り返し提案してきましたが、あらためて検討を求めます。見解を伺います。

(区長)低所得世帯等へのエアコン購入費助成については、リスクの高い高齢者の住環境の向上などの側面から、令和7年度に区として必要な支援策を検討していく。

 

 今回の年末年始は9連休と長期に及びました。多くの公的機関が閉庁する中、国立市では年末29日と年始4日の2日間、市役所西側広場を会場に「くにたち市年末年始困りごと相談会」がおこなわれました。実行委員会主催で、国立市と国立市社会福祉協議会が後援し、食料や生活用品の配布、生活や労働、法律などあらゆる相談に対応できる体制で実施され、2日間で延べ250人が利用し、休日勤務として市職員も2名が参加されたとのことです。

 

(浦野)2025年~2026年の年末年始も、今回と同じく9連休となります。中野区でも、住民の不安解消や課題解決のために長期の年末年始にどういったニーズがあるかを把握するためにも、連休中に相談日を設けることを検討すべきです。その上で、本格的な実施の検討や現在の対応で改善が必要な点を考えることが必要ではないでしょうか。開催にあたっては区役所1階のナカノバなどを利用することも選択肢になると考えます。あわせて、答弁を求めます。

(区長)年末年始など、長い期間閉庁する際には、早期の相談を促すとともに、都が臨時開所する支援の窓口について区も協力しながら対応しており、今後も東京都との連携を図っていく。 

 

 生活援護課が窓口なる生活相談の今年度の件数は、今年1月末時点で4008件と、ここ数年間の同時期では昨年度の4096件に続く件数です。新型コロナ感染拡大初年度以降、高止まりしています。

 

(浦野)区が2022年3月から3年連続で作成・掲示している「生活保護の申請は国民の権利です」と記したポスターは、今年度はどのような対応をするのでしょうか。制度を必要とする方に正しい情報が届くよう、区の各SNS媒体を積極的に活用し繰り返しの発信など、更なる工夫が必要です。あわせて答弁を求め、次の質問に移ります。

(区長)生活保護のポスターについては、現在、庁舎内のデジタルサイネージや区ホームページで公開しており、今年度も3月頃にポスターを作成し、区の施設や掲示板への掲示を予定している。掲示期間にあわせ、区のSNSでも周知を図る予定であり、今後も効果的な広報手段の活用を図っていきたい。

 

(2)介護事業者支援について(2問)

 政府は訪問介護の基本報酬を2024年4月から2~3%引き下げました。東京商工リサーチ調査によると、昨年4月に報酬を引き下げた訪問介護を主におこなう事業者の倒産や休廃業・解散が昨年で529社に及ぶとのことです。過去最多であった2023年を102件上回る急増で、通所や短期入所施設などを含めた介護事業者全体では784社となり、こちらも過去最多件数です。

 

 この間、会派として、区内の介護事業者の実態把握と支援の必要性を繰り返し求めてきました。所信表明の中で介護サービスを支える人材確保策として、介護の魅力を伝えるパンフレット作成が示されました。これ自体は大切なことですが、現場の危機感とは乖離しているのではないでしょうか。先月、日本共産党議員団として区内403の介護の全業種事業者へ緊急実態調査をおこない、2月10日現在、51事業所からご協力をいただきました。現在の経営状況を「とても苦しい」もしくは「苦しい」と回答された事業者は8割にのぼります。

 

(浦野)以前からのコスト高や介護人材不足に加え、報酬減によるマイナスも積み上がり、経営はますます厳しい状況に置かれ、倒産・休廃業・解散が増加し続けることが想定されます。区は、事業者が置かれている状況をどのように認識しているのか伺います。

(区長)訪問介護の事業所は、令和7年1月現在79事業所と、令和6年3月時点と比べ2事業所増えており、区内の介護サービス事業所は入れ替わりはあるものの一定数保たれている。各事業所の経営状況はまちまちであるが、人材確保が難しいとの声を聞くことが少なくない。来年度は介護人材の裾野を広げるため介護の仕事の魅力を紹介するパンフレットの作成を予定している。東京都や国の施策とあわせて、人材確保策に取り組んでいく必要があると認識している。

 

 新潟県村上市は、報酬引き下げによる減収分を昨年4月の改定時に遡って独自に補助することを決めました。この支援策は次期の介護報酬改定までの3年間の措置で、介護保険給付等準備基金を取り崩し活用するとのことです。村上市は、政府が訪問介護報酬の引き下げを決めた昨年3月に訪問介護事業者にアンケート調査を実施し、「廃止を検討している」などの深刻な声を受け、由々しき事態と危機感を持って支援策の検討に着手し、補助実施に繋げました。村上市の高橋市長は、「基金があったので取り崩してあてましたが、なければ一般財源を投入してでもやったと思います。介護資源を守らないとなりません」と述べています。先に紹介した党議員団の緊急実態調査では「介護職員が少ないため、新規の受け入れを断らざるを得ない」という事業者も多くありました。

 

(浦野)23区では世田谷区が独自の支援策を開始しましたが、中野区でも事業者の実態を適切に把握するために緊急調査をおこなうべきではないでしょうか。そして、その結果をもとに必要な支援策を早急に検討すべきです。あわせて、答弁を求めます。

(区長)区では、物価高騰の影響を把握するため、昨年11月に区内の介護サービス事業者を対象としたアンケートを実施した。影響を受けていると回答した事業者も少なくなかったことから、都の物価高騰対策とあわせ、地域密着型介護サービス事業所への支援をおこなっている。今後も、健康福祉審議会における意見交換や介護保険事業計画の各種調査などにより事業所の状況を把握し、状況に応じた支援を検討していく。

 

(3)まちづくりのあり方について(5問)

(ア)中野駅新北口駅前エリアの市街地再開発事業について

 1月の各所管委員会において本事業の検討状況が報告され、事業計画の見直し方針や今後のスケジュールについては、3月までに明らかにするとされています。

 

(浦野)事業スケジュールの遅延により新たに発生する中野区の負担(年間4.6億円)を施行予定者に求めることは当然ですが、施行予定者から新たに示された施設計画変更の配置をみると、展望施設の保有のあり方一つをみてもこれまでの資金計画の大きく見直しが必須となります。また、住宅棟が全体の6割を占めることが本当に良いのか、新たな施設配置イメージ図が本事業のプロポーザルでの次点事業者案に類似している点など、公平な事業者選定の観点からも課題があります。区民参加で、あらためて、事業全体の再検討が必要ではないでしょうか。見解を伺います。

(区長)区としては、施行予定者からの事業計画見直しの提案について、事業の成立性や当初提案内容や事業計画内容の継承性、手続きの公平性や中立性といった観点から確認し、事業計画見直し方針として採用できるものかどうかを判断していく。

 

(浦野)今月22日には、区民と区長のタウンミーティングが予定されています。区民への説明の機会が必要であることは繰り返し求めてきたため、開催されること自体は評価します。しかし、定員30名とのことです。いまは、本事業の現時点での正確な情報をきちんと住民の方々と共有し、疑問や不安に正確にこたえることが重要ではないでしょうか。タウンミーティングに限定せず、住民の方と共有する場の持ち方、回数、参加人数のあり方なども工夫が必要です。答弁を求めます。

(区長)本事業について、区長から現状を説明するということで2月22日にタウンミーティングをおこなう予定である。また、2月20日付区報でも本事業の現状について掲載を予定している。今後、必要に応じて意見交換会等の実施なども検討していきたい。

 

(イ)まちなかでのベンチの設置について

 この間、誰でも気軽に座れる場所として、まちなかでのベンチ設置について繰り返し求めてきました。所信表明において「公共的な空間に気軽に腰かけられるスペースを確保して歩きたくなるまちづくりを推進する」と示されたことを歓迎いたします。

 

(浦野)まず、歩きたくなるまちづくり全体の考え方について伺います。

(区長)区は、都市計画マスタープランにおいて、自分らしい豊かな暮らしを地域全体で支えあう都市づくりを進めていくこととしている。区の目指す都市の実現に向け、歩きたくなるまちづくりの推進は重要な取り組みの一つであると考えている。あわせて、歩きたくなるまちづくりの推進は、まちの賑わい創出や区民の健康増進も期待できるなど、区が目指す活力ある持続可能なまちづくりの実現に寄与していくものと考えている。

 

(浦野)推進のためには、設置補助など1つのメニューのみではなく、積極的な仕組みづくりも必要と考えます。道路上でのスペース確保、施設更新の際に意識的に設置していくことなども大切です。現時点で検討していることについて伺います。

(区長)民有地へのベンチ設置補助だけでなく、区が管理する土地や施設においても気軽に腰かけられるスペースの確保を積極的に進めて行くことが大切であると考えている。区道、公園や区有施設などにおいて、適切なスペースがないか、順次調査を進めていきたいと考えている。

 

(浦野)中央区では毎年設置を進めており、「中央区ベンチマップ」で、ベンチのタイプを明示するとともに、新規設置した箇所がわかるように可視化されています。中野区が歩きたくなるまちづくりを推進する上で、住民とそのことが共有できることも大切です。この点についての見解を伺います。

(区長)区内の公共空間には、あまり利用されていないベンチ等が複数箇所あると認識している。ベンチ等の設置については、区民などへの周知方法とともに周辺環境を踏まえた配置の見直しなど、より効果的なベンチ設置のあり方についても検討していきたい。

 

 1月に都市計画課が主催した景観づくりの考え方に関する講演会において、ベンチは大切にもてなすというメッセージが伝わることが重要とのお話もありました。ぜひ、その観点でもこの施策が進むことを願い、次の質問に移ります。

 

(5)平和行政について(1問) 

 昨年10月、日本被団協が2024年のノーベル平和賞を受賞しました。被爆の実相や核兵器の非人道性を語り続け、核兵器の全面禁止を求める取り組みを長年に渡り継続し、国際的なうねりを生み出してきたことに、あらためて敬意を表します。唯一の被爆国である日本が、一日も早く核兵器禁止条約を批准することを、あらためて強く求めます。所信表明では、「今後も、様々な機会を捉えて平和への強い意志を発信していく必要がある」と示され、大事な姿勢として評価いたします。

 

(浦野)今年は戦後80年です。平和展示室で年4回の企画展に加え、今年は庁舎1階での企画展や平和のつどいの実施場所や方法も検討していくとのことです。ぜひ、一人でも多くの方と平和の尊さを共有できるよう、期間や内容について充実するとともに、区長が所信表明で示された強い意志が伝わるよう取り組んでいただきたいと思います。あわせて、答弁を求めます。

(区長)区は、憲法擁護・非核都市の宣言をおこない、中野区における平和行政の基本に関する条例を制定し、平和に向けた取り組みを進めてきた。戦争体験者が少なくなってきているいま、より一層の平和啓発事業の推進に取り組んでいきたいと考えている。終戦から80年を迎える来年度においては、より多くの区民の方にご覧いただけるよう終戦記念日にあわせて庁舎一階を広く活用し、例年よりも充実したかたちで展示等をおこなうことを検討している。また、平和のつどいについても、若い方も含む多くの方に平和の尊さを共有できるよう実施方法を検討していく。

 

(6)給付型奨学金について(1問)

 この項の最後に、給付型奨学金について伺います。これまでも繰り返し、大学等の進学にあたっての中野区独自の給付型奨学金制度創設を求めてきました。品川区が来年度から開始すると表明し、23区では港区・足立区・大田区などがおこなっています。

 

(浦野)中野区としては、実態調査により現状把握ができたため、進学や就学に向けた支援のあり方の検討を進めるとしていますが、実施に向けたスケジュールや進め方をきちんと定めて踏み出すべきと考えます。答弁を求めます

(区長)区は、区内の高校2年生年齢の子どもと保護者を対象に「令和4年度子どもの生活実態調査」において、高校卒業後の進学や就学に関する現状を把握し、調査の分析結果を踏まえ支援のあり方について検討を進めてきた。令和7年度において、全庁的な検討体制により給付型奨学金制度の創設に向けて検討を進めていく。