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一つの地方議会から、国や東京都などへ意見書を提出することに意味があるか(最低賃金編)

 一つの地方議会から、国や東京都などへ意見書を提出することに意味があるか。

 

今議会に、「最低賃金1500円の早期実現を求め、区議会として政府に意見書を提出して欲しい」と願う陳情が出されました。所管委員会では賛成多数で採択しましが、本会議では賛成少数となり、残念ながら不採択でした。

 

陳情書に記されていましたが、実質賃金は低下し続け、物価高に賃金上昇が追いついていません。岸田首相自身も、最低賃金の引き上げが必要と認識していますが、「2030年代半ばまでに1500円に引き上げることを新たな目標にする」としており、これでは明らかに遅すぎます。

 

他の先進国との賃金格差は広がり続けており、少子化・格差拡大・経済低迷などの課題を解決するためにも、「2030年代ではなく、少しでも早期に実現を」というのは、その通りであり、日本共産党は陳情に賛成しました。

 

中野区には、「公契約条例」があります。長年、議会で求め続け、まもなく、制定から2年となります。「こうけいやく」、つまり、区の「公」契約の手続きなど、基本的な方針を定め、公契約にかかわる業務に従事する労働者等の適正な労働条件を確保することが目的です。

 

公契約条例では、労働者等へ支払う1日または1時間あたりの賃金の下限=労働報酬下限額(以下、下限額)を定めます。つまり、中野区での最低賃金です。このことで、行政が委託する事業などにおいて、そこで働く人の賃金などを適正にし、公共サービスの質を確保します(画像は日本弁護士連合会作成のリーフです)。

 

この下限額は、中野区会計年度任用職員の報酬、東京都の最低賃金 、国が定める公共工事設計労務単価等をもとに審議会で議論されます。今年度、中野区の下限額は「1170円/1時間」で、これ以上の報酬を支払う必要があります。なお、今年10月から、東京都の最低賃金は「1113円/1時間」になりました。

 

公契約条例で定めている下限額が、最低賃金を下回る場合、行政は下限額を引き上げます。つまり、区政においても、最低賃金の問題は、無関係どころか大事なテーマの一つであり、陳情はその点からもとても大事な意味がありました。秋の区議会では羽鳥区議が、区として最低生活費の調査を求めました。

 

公契約条例が制定されたことは大きな意義があり、ここでも、市民の方々の粘り強い取り組みがありました。政治はこうして、一つ一つの積み重ねで動いていきます。一人ひとりの声と行動は、必ず政治を動かします。これからも皆さんの声に学び続けながら、議会内外で、ともに力をあわせます。